歯周病ワクチンの作用メカニズム⭐️
2022/10/02
今回は歯周病ワクチンの作用メカニズムをお話します🌞
かなり専門的な内容になってしまうため簡単なお話は前回の歯周病ワクチンってなに?やQ&Aをご覧ください💦
まず歯周病ワクチンの目的である歯周病菌への免疫誘導を起こすために歯周病菌の超音波破砕抗原を利用しているのですが、これをそのまま使用しても樹状細胞などの抗原提示細胞への送達効率が悪いのです🥲
そのため十分な免疫誘導が得られません😰
そこで出てくるのがリポソームという人工脂質二重膜です😮
リポソームは脂質の膜でできたナノカプセルなのですが、これに歯周病菌の破砕抗原を封入すると、なんとびっくり抗原提示細胞への送達効率が飛躍的にあがるのです🐶🐱
そうすることで十分な免疫誘導が行えます✨
リポソームというものは以前から医薬品やワクチン、化粧品などにも利用されているDrag Delivery System(DDS)(ドラッグデリバリーシステム)の一つです💫
要は効率よく目的地に成分を届ける技術ということですね🚑
ちなみに私は大阪府立大学出身なのですがそこでの卒業研究テーマもこのリポソームを使用した自家腫瘍ワクチンでした🚨
大学の教授とのそんな繋がりから歯周病ワクチンを当院でも行えることになったのです🔓>
話を戻して、
効率よく送られた破砕抗原は抗原提示細胞により、破砕抗原=歯周病菌の特徴をもつ敵に対する抗体の産生を促します🤩
この結果唾液中と血中に抗体が分泌され歯周病菌をやっつけてくれるわけですね🤗
ではなぜ注射ではなく点眼なのか?
これにも意味はあります🧐
目や鼻・口という粘膜で病原体をブロックしてくれる機構のことを粘膜免疫というのですが、これを利用するために目薬での投与となっています😎
注射をすればもちろん血液中にIgGという抗体が誘導できるのですが、それだけではなく唾液中にもIgAという粘膜免疫を誘導することで
さらに歯周病への対抗策を増やそうという目論見があるため目薬になったのです🤗
ちなみに歯周病ワクチンにより誘導できるのは唾液中のIgAはもちろん血中のIgGも誘導されるためダブルパワーということですね🥳
これらは抗体が誘導されてくることをin vivo(生体内)で研究しており☣️
その抗体の効果はin vivo, invito(試験管内)ともに確認されています🔅
IgA抗体によるバイオフィルム形成抑制や歯周病菌(P.gingivalis)による口腔上皮細胞傷害性に対する抑制効果、歯肉炎スコアの改善などがみられています💡
難しいお話をしましたが以上のような作用メカニズムでした‼️
なにか気になることや難しい話を分かりやすく教えて!などあればぜひご来院くださいね📢
ご予約もはじまっていますのでぜひ🪄
TEL: 072-648-7823
参考文献:
Shimizu, Y., Iwasaki, T., Tajima, T., Yuba, E., Kono, K., & Watarai, S. (2017). Induction of antibody response in the oral cavity of dogs following intraocular (eye drop) immunization with Porphyromonas gingivalis cell lysate incorporated in pH-sensitive fusogenic polymer-modified liposomes. Journal of Veterinary Medical Science, 79(2), 290-298.