伝染性腹膜炎(FIP)の治療の現状について「茨木市高槻市のゆうり動物病院での対応について」
2026/06/12
こんにちは、ゆうり動物病院の院長です。
茨木市で開業してから今日までで医療も日々発展しています。
特に若い猫を飼い始めたばかりのご家庭から「FIP という病気が怖いと聞きました。いまは治療できるって本当ですか?」というご相談が増えてきました。
FIP――猫伝染性腹膜炎――は、ほんの数年前まで「診断されたらほぼ助からない」とまで言われていた病気です。
しかし 2020 年ごろから抗ウイルス薬の研究が進み、かつての常識はすっかり書き換えられました。
今日は最新の治療事情と、飼い主さんが知っておくと安心なポイントを、できるだけ丁寧にでお伝えします。
FIP を発症するまでに体の中で起きていること
1.
FIPとは猫コロナウイルスが変異することで発症する病気です。
多くの猫は子猫の頃に猫腸コロナウイルスというごく弱いウイルスに感染します。
ふだんは腸の中にとどまり無症状もしくは下痢を起こす程度ですが、ウイルスが突然変異を起こすと体を守るはずの白血球に入り込み、血液に乗って全身へ広がります。
突然変異がなぜ起こるのかはまだ詳細にはわかっていませんが、多頭飼育などによるストレスが指摘されています。
増えたウイルスが激しい炎症を起こし、お腹や胸に黄色い水がたまる“ウェット型”や、臓器に小さな腫れができる“ドライ型”として発症します。
また、眼に症状のでるものや、神経症状のある場合は薬の量を増やして対応する必要があります。
抗ウイルス薬がなかった時代は、症状が出てから数週間、下手すれば数日で命を落とすことがある恐ろしい病気でした。
このウイルスはどこにでもいるので、もちろん大阪府のみならず茨木市、高槻市でも発生はあります。
どんな症状が合図になるのか?
2.
いちばん多いのは「食欲が落ちたまま熱が何日も続く」パターンです。
・ウェット型:お腹が急に膨らんだり、胸に水がたまって呼吸が速く苦しそうに見えたりします。
・ドライ型:はっきりした外見の変化が少なく、「何となく元気がない」「体重が減る」といった目立たないサインだけで進むことも珍しくありません。
生後数か月から2-3歳くらいまでの若い猫は特に注意が必要です。
ほとんどの場合は亡くなってしまうし、はっきりした治療方法も存在しないのが現状でした。
茨木市のゆうり動物病院で行う主な検査
3.
診察ではまず血液検査で貧血の有無やタンパク質のバランスを確認し、超音波で腹水やリンパ節の腫れを調べます。
この検査でまずFIPの存在を疑います。
そして確定のためには変異したウイルスを検出することが必要です。
ウェット型では腹水や胸水が採取するか、ドライ型のように水がたまらないケースでは、超音波で見える小さな結節に細い針を刺して細胞を取り、検査センターでPCR検査による確認、場合によってはウイルス抗原の染色を行います。
また、診断が確定する前にも体力が弱っていってしまうのを防ぐために点滴などを行ないます。
現在FI Pの治療で使える薬とその違い
4.
以前はステロイドなどで苦痛を和らげるしか方法がありませんでしたが、現在はウイルスの増殖そのものを止める薬が実用化されています。
当院で使用する代表的なものを表にまとめました。
薬剤名 | 主な働き | よく使う量 | 投与期間目安 | 寛解率 |
|---|---|---|---|---|
GS-441524 | ウイルスのRNA合成を阻害 | 10-20 mg/kg 日 | 84日 | 90%以上 |
レムデシビル | GS-441524の注射型プロドラッグ(体内でGS-441524に変化する) | 10-20 mg/kg 日 | 数日(経口薬に移行できるまで) | 90%以上 |
モルヌピラビル | ウイルスRNAにエラーを誘発 | 10-20 mg/kg 日(データ蓄積中) | 84日 | 70-85% |
この表にある通り、もっとも実績が多いのは GS-441524 &レムデシビルです。モルヌピラビルは価格が抑えられる反面、薬用量の検討がまだ必要なため当院ではGS-441524 &レムデシビルを選択することがほとんどです。
投薬を始めて二、三日で熱が下がり、食欲が戻るケースが大半です。
脳や目に症状が出た猫には少し高めの量で長めに投与します。
なお、GS-441524は日本でまだ正式承認されていないため、獣医師が責任をもって輸入し、治療計画を立てる必要があります。
費用は体重4キロの猫でお薬代の総額80万円くらいが目安ですが、ここ数年で選択肢は広がっています。
ゆうり動物病院でも海外からの輸入が可能ですし、実際の治療例もあります。
が、承認されていない薬であることをご了承いただいた上での投与になります。
治療の流れとご家庭でのサポート
5.
当院では入院で点滴投与を始め、食欲が戻ったところで飲み薬へ切り替えます。
通院は2-4週間ごと、血液検査と体重測定で回復具合をチェックし、タンパクバランスが改善し、貧血もない状態が続けば治療終了です。
おうちでは毎日の体重、食欲をメモに残していただくと小さな変化に気づきやすくなります。
また、高カロリーの流動食を常備し、食べむらがある日は少量ずつシリンジで与えると体力が落ちにくいです。
• どうしても薬を嫌がる場合は投薬補助トリーツを利用する
これはお薬をしっかり飲むことが重要なので、ちゅーるやお菓子を使っても大丈夫です。無理せず相談してください。
当院でもピルサポートというお菓子をお出しするのですが、ピルサポートに包んで投薬すると簡単に飲めたというお声をいただくことも多いです。
サケ、タラ&ブリ、チキンと3種類の味があるのでぜひスタッフにお尋ねください。
再発と予防の考え方
6.
治療を終えた猫の一部で再発が報告されていますが、初回より多めの投薬量の追加治療で再び寛解する例も多く、悲観的になる必要はありません。
とはいえ、発症自体を防げるのが理想です。
多頭飼育の場合、トイレを一日二回以上きれいにし、猫どうしのストレスを減らす工夫をするとウイルスが突然変異を起こしにくくなると言われています。
感染するものかどうかはっきりしたデータは実はないのですが、新しい子猫を迎える際は先住猫とトイレや食器を分け、二週間ほど健康観察期間を設けると安心です。
おわりに
7.
FIP は、診断されたときのショックが大きい病気ですが、治療薬の登場によって「助けられる可能性の高い病気」へと立場が変わりました。
大切なのは早期発見と早期治療です。
「熱が続く」「元気がない」など少しでも気になる様子があれば、茨木市・高槻市のゆうり動物病院までご相談ください。
いっしょに愛猫さんの未来を守っていきましょう。
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ゆうり動物病院
院長 樋口裕梨
〒
567-0806
大阪府茨木市庄2-26-14-102
電話番号 :
072-648-7823
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